耳鳴り改善

耳鳴りは、なぜ起こるのですか

坂田

私たちが普段、感じる音は、「空気の振動」であり、耳鳴りは耳のしくみや働きと密接に関わっています。耳は外耳・中耳・内耳の3つの部分からなり、外から入ってきた音の振動は、外耳、中耳を経て、内耳に送られ、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」という器官で電気信号に変えられたあと、神経(蝸牛〈かぎゅう〉神経)を通って大脳に送られ、初めて「音」として認識されます。耳鳴りは、このルートのうち、内耳に「異常興奮」が生じて起きると考えられます。しかも、難聴やめまいと一緒に起きることが多く、実際耳鳴りを訴える患者さんの8割に一定の難聴がみられます。

耳の構造図

原因は何ですか

耳鳴りは、いろんな病気が原因となって起こります。例えば、耳の病気や神経・脳の障害、全身疾患や薬物中毒、過剰なストレスなどですね。このうち、最も多いのが耳の病気によるもので、中でも内耳性の耳鳴りは全体の80?90%を占めるといっても過言ではありません。内耳性の病気といえば、耳鳴りや難聴、めまいを繰り返す「メニエール病」や、ある日突然発症する「突発性難聴」などが代表的なものです。また耳の中に虫やゴミが入ったり、耳垢が溜まっただけで耳鳴りになることもあります。耳に異常がなくても聴神経や脳に障害がある場合や糖尿病、高血圧症、動脈硬化症などの全身疾患、不眠などの睡眠障害、薬の副作用や毛染め剤の使用でも耳鳴りが起きることもあります。
 

耳鳴りの主な原因が耳の病気だった場合、どんな手順で治療を行いますか。

うちでは、治療に先立って患者さんに問診票に細かく記入していただき、それに基づいて生活習慣の改善を徹底指導します。前述の通り、耳鳴りは普段の生活習慣と密接な関係があり、その改善なくして症状はよくなりません。それが済んだら聴力や耳鳴りの程度、性質、原因などを調べます。治療では、まず内服薬を投与し、耳鳴りの改善が見込めなかったら、肩の筋肉に注射する「筋肉注射」を約週1回ずつ計4回打ちます。

 

 

正直、耳鳴りを完全になくすのは現代の医療では不可能かもしれません。実際、耳鳴りを訴える人のうち、3割の人の症状が改善されれば「画期的だ」といわれるくらい、耳鳴りは厄介な病気です。病院に行っても医師からは「年のせいだから仕方ありませんね」「なんとか耳鳴りとうまく付き合ってください」などと言われ、あきらめている人がたくさんいます。でも、治療によっては、耳鳴りが気にならない程度に症状を軽減することは十分可能です。最近は、新しい治療法も研究され耳鳴り改善治療の選択肢も広がりました。あきらめずに症状と向き合い、生活習慣を見直すなど努力を続けることが大切です。