耳鼻科による耳鳴りの治療

耳鳴りは、鳴り初めの早い段階で耳鼻科などの専門機関を受診することで早期に解消できると言われています。

逆に数か月以上たってからの受診では耳鳴りを完全に消し去ることが困難であるとも言われているので注意が必要です。

耳鳴りの改善が期待できる専門の医療機関では、TRT( Tinnitus Retraining Therapyの略 )という治療法が用いられており、TRT治療の専門外来を設けているクリニックも増えています。

TRTの大きな特徴は「耳鳴りに慣れさせる治療」であることです。

自覚的耳鳴のように特定の原因が見つからない耳鳴りの場合、患者さんご自身が耳鳴りに対して順応していく術を身に着けることも治療の一環となります。

またTRTは音響療法と心理療法というふたつの柱からなり、これを相互に利用することで耳鳴りの改善につなげていくことも可能です。

【TRTの音響治療】

あくまでも耳鳴りが気にならなくなるように導くのがTRT治療の目的です。

音響治療に用いられるのは、サウンドジェネレーターという音響機器から発せられる音や川のせせらぎ、または鳥のさえずりといった自然界の中にある音のサンプルであり、まずはある程度長時間聞いていても不快感を覚えないような音でマスキングするという意味から、マスカー療法とも言われます。

心地良さを感じる音で耳の聞こえを意識的に変え、いつの間にか耳鳴りの症状が気にならない状態にまで到達することが音響治療によって得られる効果となります。

また音響治療は、実際に聞こえている耳鳴りが自分にとって不快な音や重要な音と過剰に認識させないよう脳の回路に働きかける治療でもあるため、人の感覚に働きかける耳鳴りの治療法ということができます。

【TRTの心理治療】

耳鳴りの原因とされる自律神経の乱れを整え、ストレスから解放するというのが心理療法による耳鳴り治療の目的であり、バイオフィードバック療法などの名前で呼ばれることもあります。

この治療は心理療法士や心理カウンセラーなど、ストレス解消の専門的な知識を習得したプロがカウンセリングに当たることで耳鳴りの改善効果が期待されるものです。

個々の患者さんが抱えるストレスの根源を探り出しリラックスを促すことで不快な音を軽減させるこの方法は、耳鳴り以外の身体の不調の改善にもつながります。

補聴器による治療

すでに耳の聞こえづらさが進行し難聴と呼ばれるレベルに達している場合などには、補聴器による治療も効果的です。

その理由のひとつとなる補聴器のメリットが、聞こえづらさをカバーするために酷使される脳の神経を休める効果にあります。

耳鳴りのつらさは聞こえにくい音を脳が賢明に聞き取ろうとすればするほど進行するとも言われています。

そこで、聞こえのレベルをアシストする補聴器によって音がスムーズに伝わり、脳が過剰に反応する必要をなくすことで耳鳴りを軽減させていく治療には期待が持てると言えるでしょう。

また補聴器の活用によって周りの話し声や生活の音が聞きとりやすくなり、結果としてこれらの音が耳鳴りを上回る効果も見逃せません。

イラストで示しているように、現在はさまざまな種類の補聴器が開発されており、外からは見えにくいコンパクトな形のものも登場しています。

補聴器を用いる方法によって、今まで聞き取れなかった音を多く取り入れ耳鳴りに注意を向けない日常を取り戻すために、各自の耳の穴の形に適合し正しく調整された補聴器を選ぶことが必要であるのはもちろんのこと、試聴などのサービスを利用できれば耳鳴り改善の治療がもっと身近なものに感じられるのではないでしょうか。

薬剤の服用や漢方処方の治療

耳鳴りの根本的な原因を特定することは実際には難しく、特効薬が存在しないというのも耳鳴りが長引く理由と言われていますが、医師の診断の元で薬剤を用いた治療が受けられるのも医療機関ならではの特徴です。

耳鳴り改善

耳鳴りは、なぜ起こるのですか

坂田

私たちが普段、感じる音は、「空気の振動」であり、耳鳴りは耳のしくみや働きと密接に関わっています。耳は外耳・中耳・内耳の3つの部分からなり、外から入ってきた音の振動は、外耳、中耳を経て、内耳に送られ、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」という器官で電気信号に変えられたあと、神経(蝸牛〈かぎゅう〉神経)を通って大脳に送られ、初めて「音」として認識されます。耳鳴りは、このルートのうち、内耳に「異常興奮」が生じて起きると考えられます。しかも、難聴やめまいと一緒に起きることが多く、実際耳鳴りを訴える患者さんの8割に一定の難聴がみられます。

耳の構造図

原因は何ですか

耳鳴りは、いろんな病気が原因となって起こります。例えば、耳の病気や神経・脳の障害、全身疾患や薬物中毒、過剰なストレスなどですね。このうち、最も多いのが耳の病気によるもので、中でも内耳性の耳鳴りは全体の80?90%を占めるといっても過言ではありません。内耳性の病気といえば、耳鳴りや難聴、めまいを繰り返す「メニエール病」や、ある日突然発症する「突発性難聴」などが代表的なものです。また耳の中に虫やゴミが入ったり、耳垢が溜まっただけで耳鳴りになることもあります。耳に異常がなくても聴神経や脳に障害がある場合や糖尿病、高血圧症、動脈硬化症などの全身疾患、不眠などの睡眠障害、薬の副作用や毛染め剤の使用でも耳鳴りが起きることもあります。
 

耳鳴りの主な原因が耳の病気だった場合、どんな手順で治療を行いますか。

うちでは、治療に先立って患者さんに問診票に細かく記入していただき、それに基づいて生活習慣の改善を徹底指導します。前述の通り、耳鳴りは普段の生活習慣と密接な関係があり、その改善なくして症状はよくなりません。それが済んだら聴力や耳鳴りの程度、性質、原因などを調べます。治療では、まず内服薬を投与し、耳鳴りの改善が見込めなかったら、肩の筋肉に注射する「筋肉注射」を約週1回ずつ計4回打ちます。

 

 

正直、耳鳴りを完全になくすのは現代の医療では不可能かもしれません。実際、耳鳴りを訴える人のうち、3割の人の症状が改善されれば「画期的だ」といわれるくらい、耳鳴りは厄介な病気です。病院に行っても医師からは「年のせいだから仕方ありませんね」「なんとか耳鳴りとうまく付き合ってください」などと言われ、あきらめている人がたくさんいます。でも、治療によっては、耳鳴りが気にならない程度に症状を軽減することは十分可能です。最近は、新しい治療法も研究され耳鳴り改善治療の選択肢も広がりました。あきらめずに症状と向き合い、生活習慣を見直すなど努力を続けることが大切です。

 

耳鳴りは、なぜ起こるのですか

坂田

私たちが普段、感じる音は、「空気の振動」であり、耳鳴りは耳のしくみや働きと密接に関わっています。耳は外耳・中耳・内耳の3つの部分からなり、外から入ってきた音の振動は、外耳、中耳を経て、内耳に送られ、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」という器官で電気信号に変えられたあと、神経(蝸牛〈かぎゅう〉神経)を通って大脳に送られ、初めて「音」として認識されます。耳鳴りは、このルートのうち、内耳に「異常興奮」が生じて起きると考えられます。しかも、難聴やめまいと一緒に起きることが多く、実際耳鳴りを訴える患者さんの8割に一定の難聴がみられます。

耳の構造図

原因は何ですか

耳鳴りは、いろんな病気が原因となって起こります。例えば、耳の病気や神経・脳の障害、全身疾患や薬物中毒、過剰なストレスなどですね。このうち、最も多いのが耳の病気によるもので、中でも内耳性の耳鳴りは全体の80?90%を占めるといっても過言ではありません。内耳性の病気といえば、耳鳴りや難聴、めまいを繰り返す「メニエール病」や、ある日突然発症する「突発性難聴」などが代表的なものです。また耳の中に虫やゴミが入ったり、耳垢が溜まっただけで耳鳴りになることもあります。耳に異常がなくても聴神経や脳に障害がある場合や糖尿病、高血圧症、動脈硬化症などの全身疾患、不眠などの睡眠障害、薬の副作用や毛染め剤の使用でも耳鳴りが起きることもあります。
 

耳鳴りの主な原因が耳の病気だった場合、どんな手順で治療を行いますか。

うちでは、治療に先立って患者さんに問診票に細かく記入していただき、それに基づいて生活習慣の改善を徹底指導します。前述の通り、耳鳴りは普段の生活習慣と密接な関係があり、その改善なくして症状はよくなりません。それが済んだら聴力や耳鳴りの程度、性質、原因などを調べます。治療では、まず内服薬を投与し、耳鳴りの改善が見込めなかったら、肩の筋肉に注射する「筋肉注射」を約週1回ずつ計4回打ちます。

 

 

正直、耳鳴りを完全になくすのは現代の医療では不可能かもしれません。実際、耳鳴りを訴える人のうち、3割の人の症状が改善されれば「画期的だ」といわれるくらい、耳鳴りは厄介な病気です。病院に行っても医師からは「年のせいだから仕方ありませんね」「なんとか耳鳴りとうまく付き合ってください」などと言われ、あきらめている人がたくさんいます。でも、治療によっては、耳鳴りが気にならない程度に症状を軽減することは十分可能です。最近は、新しい治療法も研究され耳鳴り改善治療の選択肢も広がりました。あきらめずに症状と向き合い、生活習慣を見直すなど努力を続けることが大切です。